2009年6月2日火曜日

オペラとその物語

<おぺらとそのものがたり>

荒川静香さんが使ったことで
有名になったアリア「誰も寝てはならぬ」は
オペラ「トゥーランドット」の中の1曲です。

これは、私も大好きな作品です。
10年ほど前、このオペラを観るチャンスに恵まれたとき、
まず、全曲入ったCDを買い、
あらすじを知り、
それぞれの歌詞の意味をチェックし、
最後に歌の冒頭部のイタリア語を覚える。
そののちに劇場へ参りました。

なんと手間ヒマかけたもんだと思いますが、
舞台を120%楽しむための準備だったのです。

素晴らしい舞台でした。

けれども、冷静になってよーく考えると
オペラの物語って、結構無理があります。

たとえば、この「トゥーランドット」ですが、
物語は「中国版かぐや姫」と言えると思います。

簡単にいえば、
「超美しい、超お嬢様」が
並みいる求婚者を拒絶するために
無理難題を出し続け、
しかも、失敗した求婚者たちはみんな命を落とす。

庶民感覚・素人感覚では
「いくら綺麗か知らんけど、
 なんでこんな『人でなし』と結婚したいと思うのか
 全然わからん」
のです。

姫も姫ですが、求婚者にも
「たいがいにしとき。」
という感じで、イマイチ感情移入はできません。

しかし。

これが、プッチーニ作『トゥーランドット』になると事情がかわります。

ひとつひとつの歌が
おとぎ話の「かぐや姫」を超え、
登場人物ひとりひとりの人格や内面までもが、
具体的な現代人のあり方を彷彿とさせるやりかたで
あるいは、それは人物ではなく、なにかの象徴と思わせるやりかたで
メロディーに、歌詞にのせて、表現されていく。

観客は『トゥーランドット』を鑑賞しながら、
自分だけの他の多くの物語を重ねて思い起こしているのでは、と思うのです。
そうさせるだけの、歌唱の・音楽の力を感じます。



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