2008年11月27日木曜日

美しきディソシエーション




スタンリー・キューブリック監督の映画、バリー・リンドン(1975)について。


オープニングの音楽は、ヘンデルの荘重なサラバンド。

キリスト教の賛美歌にもなっている曲で、その出だしの歌詞が

「罪、とが、不義、悪・・・」であることを知っているので

(ああ、そういう話なの・・・)と気分は一気に重くなります。

しかし、アイルランドの風景があまりに美しいので

ついつい見続けます。



主人公は、さっぱりした男ですが、イイ奴と言えないところが多数あり、どうも感情移入し難いです。


それでも、ときどき流れるシューベルトのピアノ三重奏曲ホ長調第二楽章が

「我らが主人公は行く行く、快活さと愚かさと未来の憂いを予見させつつ」

というムードを見事に作り出し、

映像はどの部分も昔のヨーロッパの名画のように美しいので

やはり、見続けてしまうことになります。



映画はこのようにしめくくられます。


 これはジョージ三世の治世の物語。
 そこで人々は生きて、言い争った。
 良い者も、悪い者も
 美しい者も。醜い者も
 金持ちも、貧乏人も
 今となっては皆、同じ。












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