死に近き母に添寢のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる (斎藤茂吉)
歌人 斎藤茂吉は、
写生を唱えた正岡子規の歌論をさらに発展させ
表面的な写生にとどまらず、対象に自己を投入して、
自己と対象とが一つになった世界を具象的に写そうとしました。
このような作歌の方法を「實相觀入(実相観入)」といいます。
【具象的】
直接それとわかるようなはっきりした形をもっているさま。「―な絵画」
対義語は抽象的。 (大辞泉)
この「実相観入」という言葉を座右の銘としている
病理学者がいます。
【病理学】
病気の種類やその本態を、主に解剖学的、組織学的に追究する医学の一分科。
(大辞泉)
その方は、戦後まもなく夫人と共にグアム島に滞在して
ALS(筋萎縮性側策硬化症)などを徹底的に調査したのですが、
その観察と研究の日々は、
斎藤茂吉の「実相観入」という理念を支えに続けられたのだろうかと
おもうのです。
病理学という、とても客観的な研究も
情熱的に自己を対象に投入することによって(実相観入)
はじめて成果に結びつくということに
歌詠みと科学研究者の奇跡的な邂逅をみるおもいです。
コーチングで一隅を照らす(私のホームページです)
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2008年5月29日木曜日
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